転職しようと思って、職務経歴書のテンプレートをダウンロード。名前と会社名までは書けた。
そして「職務内容」「実績・成果」の欄で、手が完全に止まる。
書くことが、何もない。
表彰されたこともない。売上を何倍にした、みたいな話も無い。ただ言われた仕事を、毎日こなしてきただけ。人によっては、そこに空白期間まである。カーソルが点滅する空欄を見ながら、こう思っていませんか。
「書くことがない」んじゃなくて、「私には、売るものが何もない」——。
先に結論を。それ、勘違いです。あなたに実績が無いんじゃない。「実績」の意味を、狭く捉えすぎているだけです。
私は転職を7回して、職務経歴書を7回書きました。しかも昔はフリーターで、書類選考で落ち続けた時期もあります。「書くことがない」側の気持ちは、痛いほど分かります。その私が、実績ゼロに見える経歴から1行を絞り出す手順を書きます。
読み終わるころには、さっきまで真っ白だった欄に、実際に1行書けているはず。
「書くことがない」の正体は、実績が無いことじゃない
まず、なぜ手が止まるのか。原因はひとつ。
「実績」を、表彰状や売上の数字だと思い込んでいるから。
そのイメージで自分の毎日を振り返ると、当然なにも出てきません。ほとんどの人は、表彰なんてされないし、売上を語れる仕事でもないからです。あなたが特別に何も無いわけじゃなく、みんな同じ場所で止まっています。
でも、考えてみてください。採用担当は、あなたの表彰歴を知りたいわけじゃない。知りたいのは、たった1つです。
すごい実績があるかどうかじゃありません。入社後の姿が想像できるか。それだけです。
だから書くべきは「輝かしい成果」ではなく、あなたが毎日”当たり前に”やっていた動き方。そこにこそ、再現できる働き方が写っています。
つまり、こういうことです。
「書くことがない」んじゃない。「こんな当たり前のこと、書いていいと思っていない」だけ。あなたが「これくらい誰でもやってる」と切り捨てた作業の中に、書くべきことが埋まっています。
実績ゼロから1行を絞り出す、3つの質問
では、実際に掘り出します。頭で「実績…」と考えても一生出てこないので、質問に答える形で進めます。紙かスマホのメモを用意してくださいね。
質問1:毎日・毎週、繰り返しやっていた作業は?
華やかさは要りません。ルーティンでいい。むしろルーティンこそ、あなたが確実にできる証拠なんです。
- 毎朝、在庫を数えて発注していた
- クレームの電話を、一次対応していた
- 新人が入るたび、仕事を教えていた
- レジ締めと、日報の入力を毎日やっていた
- エクセルで、シフト表を作っていた
「そんなの実績じゃない」と思いましたよね。そこがまさに、手が止まる原因です。これで十分。まず10個、書き出してください。上手い言葉はまだ要りません。
質問2:その作業で、何かトラブルを防いだ・改善したことは?
質問1で出した作業を、1つずつ見ます。「困ったことが起きないように、こっそり工夫していたこと」はありませんか。
→ 発注ミスによる欠品を、月に数回から、ほぼゼロにした
「クレームの一次対応」
→ その場で対応することで、上司にエスカレする件数を減らした
「新人に仕事を教える」
→ 教える手順をメモにまとめ、次の新人が早く独り立ちできるようにした
魔法みたいですが、やっていることは同じです。作業を「防いだこと・良くしたこと」の言葉に翻訳しただけ。大きな成果である必要はありません。「小さな困りごとを、起こさないようにしていた」——それが立派な実績です。
質問3:同僚や上司に、頼られていたことは?
自分では気づきにくいので、視点を変えます。「なぜか自分に回ってきた仕事」を思い出してください。それは、あなたが周りから信頼されていた証拠です。
「新人の教育はいつも自分だった」「面倒な客の対応を任されがちだった」「PCが苦手な人に、よく聞かれた」。頼られる=その分野で信頼されている、ということ。これも、そのまま強みになります。

ここまでやると、たいてい「あれ、意外と書けるかも」となります。
能力が無かったんじゃなくて、自分の仕事を”低く見積もる癖”があっただけなんですよね。私も昔、自分の職歴を「バイトばっかりで何もない」と思っていました。棚卸ししたら、全然そんなことなかった。
掘り出したものを、そのまま1行にする型
材料が出たら、あとは型に流し込むだけです。難しく考えず、この形に当てはめてください。
例1:
在庫管理と発注業務を担当。発注のタイミングを見直し、欠品による機会損失を減らした。
例2:
接客とクレーム一次対応を担当。その場で解決する対応を心がけ、上長への引き継ぎ件数を削減した。
例3:
新人教育を担当。指導手順をマニュアル化し、教育にかかる時間を短縮した。
数字が出せるなら入れる。出せなくても大丈夫です。「減らした」「短縮した」「起きないようにした」という動詞が入っていれば、”ただ作業していた人”ではなく”考えて動いていた人”に見えます。
【辛口】空白期間に「充電期間でした」は、書くな
ここからは、ネットの模範解答をひっくり返します。空白期間の書き方を調べると、必ずこう出てきます。
「”充電期間”としてポジティブに書きましょう」「自己啓発に励んでいたと伝えましょう」。
正直に言います。これ、採用担当は見飽きています。みんなが同じテンプレを写すので、「充電期間」「自分を見つめ直し」という言葉が並んだ瞬間、逆に「あ、これテンプレだな」と一瞬で見抜かれるんです。飾るほど、嘘っぽくなる。
⭕ 良い例:「家族の介護のため離職。落ち着いたため、腰を据えて働ける環境を探しています」
⭕ 良い例:「体調を崩し療養していました。現在は回復し、就業に問題はありません」
事実を短く。そして「今は働ける」と一言添える。採用側が本当に不安なのは、空白の理由より「今、ちゃんと働けるのか」だけ。そこに答えれば十分です。
嘘をつく必要も、盛る必要もありません。飾らない事実のほうが、テンプレより信用されます。これは、7回書いてきた私の実感です。
「理由は書かなくていいの?」と思った人へ
ここまで読んで、こう思いませんでしたか。「でも採用側は、理由も気になるはずでは」と。そのとおりです。理由は書きます。ただし、書き方が種類で変わります。
「家族の介護のため離職。現在は落ち着いています」
【病気・ケガ】病名を書く義務はありません。回復が伝われば十分。
「体調を崩し療養。現在は回復し、就業に支障ありません」
【心身の不調】ここも病名は不要です。「体調を崩し」で足ります。嘘ではなく、書く粒度を選んでいるだけ。後ろめたさを持つ必要はありません。
【育児・家庭】事実+体制が整っていることを添えます。
「育児のため離職。預け先を確保済みで、フルタイム勤務が可能です」
もう一つ。「回復してから、どれくらい経ったか」を書く
見落とされがちですが、これが効きます。「現在は回復しました」だけだと、つい先週まで寝込んでいたようにも読めてしまうからです。
⭕ 「体調を崩し約1年療養。回復から半年が経ち、通院もなく通常勤務が可能です」
療養にかかった期間と治ってからの経過。この2つが入るだけで、「もう安定している人」として読まれます。
もう一度、あの空欄に戻ってみてください
最後に、やることをまとめます。
- 1:毎日・毎週やっていた「当たり前の作業」を10個
- 2:そのうち、トラブルを防いだ・工夫したものに印
- 3:印をつけたものを「何を+どう工夫して+どうなった」の型で1行に
この3ステップで、真っ白だった欄が埋まり始めます。あなたに書くことが無かったんじゃない。自分の毎日を、低く見積もっていただけです。

「書くことがない」と手が止まったあなたは、たぶん真面目な人です。誇張して盛るのが苦手だから、書けなかっただけ。
でも、その正直さは面接でいちばん効く武器です。飾らずに、やってきた事実を並べてください。大丈夫、あなたには、ちゃんと書くことがあります。
もし「そもそも職歴に自信がない」「バイト経験しかない」と感じているなら、こちらも読んでみてください。同じ場所から抜けた話です。


コメント