「もう辞めたい」と思って検索すると、「石の上にも三年」「3年は続けろ」が出てきます。
その一方、「第二新卒は今が売り手」とも書いてある。結局どっちなんだ、と思いますよね。
もし今回が2回目、3回目なら、不安はもっと具体的なはずです。「このペースで辞めてたら、自分はどうなるんだろう」と。
最初に言っておきます。20代の転職は、回数そのものより「毎回、同じ理由で辞めていないか」のほうが決定的です。回数が多くても、理由が違えば説明できる。逆に理由が同じだと、何回目でも同じ壁にぶつかります。
私は転職を7回しました。あなたが一番なりたくない例です。だから偉そうなことは言いません。ただ、7回やったからこそ見えた「回数が増える仕組み」があります。
先に正直に書いておくと、私の7回は正社員だけの話ではありません。時給や歩合も含みます。だから「正社員でキャリアを積め」という話はできません。ただ、辞める理由が毎回同じだと詰む、という構造は、雇用形態が変わっても同じでした。
まず数字。20代で3回目は、そんなに珍しいのか
国の調査で、年齢ごとの転職回数を見てみます。
| 年齢 | 転職1回 | 転職2回 | 2回まで計 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 69.7% | 16.9% | 86.6% |
| 25〜29歳 | 49.3% | 23.9% | 73.2% |
| 30〜34歳 | 27.1% | 24.9% | 52.0% |
| 35〜39歳 | 14.6% | 22.2% | 36.8% |
出典:厚生労働省「令和2年転職者実態調査」第6表(年齢階級別・転職回数別の転職者割合)
20代前半なら、転職1回の人が約7割。20代後半でも、2回までが7割を超えます。1回目、2回目までは、まったく普通です。あなたは多数派の中にいます。
そして、3回目以降を怖がりすぎる必要もありません。同じ表を逆から読むと、30代前半では約半数(100%−52.0%=48.0%)が3回以上、30代後半では6割以上が3回以上です。年齢が上がるほど、回数が多いこと自体は珍しくなくなります。
ただし、20代のうちは、面接で理由を聞かれる前提で用意しておいてください。回数が多くて不利になるのは、数そのものではなく、聞かれたときに説明できない場合だけです。
回数が増えるのは、こういうループに入るから
回数が増える人は、ほぼ全員このループに入っています。
↓
② とにかくこの場所から離れたい
↓
③ 次を「今より良さそう」だけで選ぶ
↓
④ 入ってみたら、また同じところが無理だった
↓
⑤ また辞める → ①へ戻る
問題は、③です。
「何が無理だったのか」を決めないまま次を選ぶと、同じ地雷を、違う会社で踏み直すことになります。会社は変わっているので、一見「新しい選択」に見える。でも、避けるものを決めていないので、確率は前回と同じままです。
私が7回かかったのは、まさにこれでした。
辞める理由は、毎回ほとんど同じでした。ひとつは人間関係。もうひとつは頑張っても報われないこと。会社は毎回変わったのに、この2つから抜けられなかった。
人間関係のほうは、正直、当時は「相性が悪かった」で終わらせていました。次の職場に移れば別の人がいるので、それで解決すると思っていたんです。でも実際は、次の職場でも似たタイプの人と、似たようにぶつかった。「人が変われば解決する」と思っている限り、抜けられません。私に効いていなかったのは、特定の誰かではなく「詰めながら指示してくるやり方」だったと分かるまで、何年もかかりました。
もうひとつの「報われない」も、当時は言葉になっていませんでした。ラクをしても、丁寧にやっても、月末に入る額は同じ。早めに行って準備しても、面倒な相手を引き受けても、1円も変わらない。すごい成果を出していたわけじゃないんです。ただ、やってもやらなくても同じ、という状態が、じわじわ効きました。
当時の私は、これを「今度こそハズレを引いた」と会社のせいにして、次を探していました。何に耐えられないのかを決めないまま選んでいた。だから、③でしくじり続けたわけです。
「何が無理だったか」を1行にする
やることは一つだけ。辞める前に、何が無理だったのかを1行で書き残すことです。
コツは、「誰が読んでも同じ意味になるか」。ここまで具体的にしてください。
⭕ 「詰めるタイプの上司の下では、力が出せない」
❌ 「やりがいがなかった」
⭕ 「何をどう頑張っても、評価が変わらない仕組みが無理だった」
❌ 「忙しすぎた」
⭕ 「終わりが読めない残業が続くと、体調を崩す」
❌️のままだと、次に何を避ければいいのか、自分でも分かりません。⭕️まで具体的にすると、次の会社で確かめることが決まります。
そしてもう一つ。1行が書けたら、「これは、部署や上司が変われば解決するか」を考えてください。
上司ひとりの問題なら、異動や配置換えで済むこともあります。会社の評価制度そのものが理由なら、社内では変わりません。ここを分けるだけで、辞めずに済む道が見つかることもあります。転職だけが選択肢ではないので。
1行が決まると、面接で確かめることも決まる
→「入って最初の3か月は、どんなふうに仕事を覚えていく形ですか」
教え方の仕組みを聞きます。「見て覚えてもらう」なら放置型、手順が出てくれば教育があります。
「評価が変わらない仕組みが無理」だった人
→「入って1年で、何ができるようになると評価されますか」
具体例が出るかどうかを見ます。「頑張り次第」で濁されたら、基準が無いということです。
「終わりの読めない残業が無理」だった人
→「繁忙期はどんな働き方になりますか」
残業時間を直接聞くより角が立ちません。時期と時間が具体的に出るかを見ます。
ただ、面接で聞ける質問には限界があります。「うちは詰めますよ」と答える会社は、まずありません。
なので、答えの内容より答え方を見てください。具体的に答えるか、濁すか。濁されたなら、それも立派な答えです。
「短期間で辞めた」を、面接でどう説明するか
1年未満で辞めた場合、たいてい理由を聞かれます。ここで会社の悪口を言うと落ちます。かといって、嘘の志望動機も続きません。
私も短期で辞めた職場があります。面接で理由を聞かれ、正直に「上司と合わなくて」と答えて、落ちました。会社のせいにして終わっているので、聞く側からすれば「うちでも同じことを言うな」で終わりです。
次からは、「合わなかった」で止めるのをやめました。同じ理由でも、そのあとに「だから次はここを確認したい」を付けるだけで、伝わり方が変わります。
「上司と合わなくて辞めました」で止まると、ただの不満として届く。でも「合わなかったので、次は教え方の仕組みを確認したいです」まで言うと、失敗から学んで動いている人に聞こえる。事実は同じなのに、です。
型にすると、こうなります。
「前職は◯か月で辞めています。正直、短いです。ただ働いてみて、頑張っても評価に返ってこない環境だと自分は続かないと分かりました。なので今回は、評価の基準がはっきりしている会社を探しています」
会社を責めず、自分の理解が進んだ話にする。早期離職そのものより、「学習していない人」だと思われるほうが致命的です。
きれいにまとめようとしなくて大丈夫です。短いことは先に認めてしまったほうが、かえって信用されます。
それでも、20代であること自体が有利です
企業が20代に払っているのは「伸びしろ」への期待で、実績ではありません。未経験の職種に移るなら、若いほど有利なのは事実です。
30代、40代になると、求められるものは「即戦力」に変わります。方向転換ができる期間には、期限がある。
だから、今しんどくて動きたいなら、動いていいと思います。「早すぎる」で止まる必要はありません。ただし、さっきの1行だけは書いてから動いてください。
辞める前に、1行だけ
「もう辞めたい」と検索したことを、後ろめたく思わなくていいです。合わない場所で消耗するほうが、よっぽど損です。
私が20代に戻れるなら、辞める前に必ずこれを書きます。「何が無理だったか」を1行。
私の場合、それがはっきりしたのは、歩合の仕事に移ったあとでした。やった分が返ってくる形なら続けられると分かって、ようやく辞める理由が変わった。7回かかって、やっと分かったことです。1行あるだけで、もっと早く、納得できる場所を選べたはずです。
そして、その1行が守られる会社かどうかは、求人票からは判断できません。「アットホーム」と書いてある職場が、詰めるタイプの上司だらけ、ということも普通にあります。
だから、応募する前に「中の空気」を知っている人に聞けるなら、聞いたほうがいいです。求人票を何時間眺めても、そこは出てきません。エージェントを、その質問先として使う手もあります。求人を紹介してもらうためではなく、「この会社、実際どうですか」を聞くために。
それだけで、次が「逃げ」ではなく「選び直し」になります。


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