何社受けても、正社員の選考だけ通らない。
契約更新のたびに、来年もここにいられるのかを考える。年齢だけが増えていく。「自分には正社員としての価値がないのかもしれない」と思いはじめる。
でも、正社員になれない理由は一つではありません。応募先、経験、希望条件、書類、面接。どこで止まっているかによって、見直す場所が変わります。
そして、本当にほしいものが「正社員という肩書き」ではなく「契約更新におびえない働き方」なら、別の道もあります。それが無期転換ルールです。
私は7回転職しました。正社員を目指しながら、自分がほしいのは肩書きなのか、雇用の安定なのか、うまく言葉にできなかった時期もあります。この記事では、正社員を目指す方法と無期転換の違いを、公的資料をもとに整理します。
結論|ほしいものが「正社員」か「安定」かを先に決める
無期転換は正社員になる制度ではありません。ここを混同しなければ、自分に合う道を選びやすくなります。
正社員になれないのは「求人がないから」とは限らない
正社員として働く人が増えているのは事実です。ただし、3,741万人は現在働いている人数で、採用枠の数ではありません。また、正社員有効求人倍率の分母には、派遣社員や契約社員を希望する人も含まれます。「正社員希望者1人に求人が1件ある」と厳密に示す数字ではありません。
職種や地域によって状況も変わります。全国の数字だけで「求人があるから受かる」「受からないのは本人の問題」とは決められません。
出典:総務省統計局「労働力調査(2026年6月分)」/厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)」
非正規から正社員を目指す2つの方法
① 今の会社で正社員登用を目指す
今の職場で仕事内容や人間関係に大きな不満がないなら、最初に確認したいのが正社員登用です。すでに仕事ぶりを知ってもらえている点は、外部応募にはない強みです。
- 直近3年で何人が登用されたか
- 登用の条件と選考方法
- 次の募集・選考時期
- 登用後の仕事内容と労働条件
登用実績がほとんどない、条件を説明してもらえない、次の機会が見えない。この場合は、待ち続けず外部応募も並行してください。
② 別の会社の正社員求人へ応募する
ほとんど面接に呼ばれないなら、次の3つを一緒に見直してください。
- 経験と応募職種が離れすぎていないか
- 勤務時間・勤務地・年収などの条件を狭めすぎていないか
- 任された仕事が、職務経歴書から伝わるか
△ アルバイトとして受発注業務を担当
○ 受発注の入力・確認を1日40〜60件担当。新人2名の手順説明も担当
肩書きより、仕事の量と任された範囲を書いたほうが伝わります。数字を無理に作る必要はありません。「何件」「何人」「どこまで一人で担当したか」のうち、事実として書けるものを入れてください。
👉 職務経歴書に書くことがない人へ。実績ゼロから1行を絞り出す手順
👉 フリーターが書類で落ち続けた頃の話と、職歴なしでも進めたルート
面接まで進めるなら、「なぜ正社員か」を言葉にする

私の場合は「なぜ正社員になりたいのか」を、うまく答えられない時期がありました。安定はほしい。でも仕事が増えたり、縛られたりするのは怖い。その迷いを整理しないまま面接に行っていたんです。
迷いがあること自体は問題ではありません。ただ、正社員として何を引き受けたいのかが分からないと、採用する側も判断できません。
退職理由も、面接で準備しておきたい質問です。
👉 面接の退職理由で落ちた人へ。7回転職した私がやらかした話と直し方
安定が目的なら、無期転換ルールも選択肢になる
「正社員という肩書きより、契約更新がなくなることを優先したい」という人には、無期転換ルールがあります。有期契約を、期間の定めがない労働契約へ変える制度です。契約社員・パート・アルバイトなど、呼び名だけで対象外にはなりません。
申し込むための条件
- 同じ使用者との有期契約である
- 契約が1回以上更新されている
- 通算契約期間が5年を超えている
- 申込権が発生した契約期間中に申し込む
条件を満たした申込みは、会社が承諾したものとみなされます。口頭でも法律上は有効ですが、申込書を提出して控えを残すほうが安全です。2024年4月からは、申込権が発生する契約更新のたびに、会社が申込機会と無期転換後の労働条件を書面で明示する必要があります。
出典:厚生労働省「無期転換の概要」/2024年4月からの労働条件明示ルール
申し込める時期
たとえば1年契約を切れ目なく更新している場合は、5年を超える契約に更新された時点で申込権が発生します。その契約期間中に申し込むと、現在の有期契約が終わった翌日から無期契約になります。
ただし、契約開始日や契約期間、空白期間によって申込権の発生日は変わります。「3年目なら、あと2年」と単純には数えられません。契約書を古い順に並べて確認してください。
無期転換しても正社員になるとは限らない
自動的に変わるのは契約期間です。給与や待遇は、労働協約や就業規則、個別契約などに別の定めがなければ、原則として直前の有期契約と同じです。申込み前に、無期転換後の条件を確認してください。
なお、有期契約のない期間が一定以上あると、それ以前の契約期間が通算されない場合があります。また、①認定を受けた事業主のもとで働く一定の高度専門職、②同じく認定を受けた事業主に定年後も継続雇用される人、③大学等の研究者・教員等には特例があります。自分に当てはまるか迷う場合は、契約書を持って労働局へ確認するのが確実です。
詳しい条件:厚生労働省「無期転換Q&A」/無期転換ルールの特例
5年になる前に雇止めを告げられたときは
無期転換を避ける目的で、申込権が発生する前に雇止めをすることは、労働契約法18条の趣旨に照らして望ましくないとされています。
ただし、5年前の雇止めが自動的に違法・無効になるわけではありません。契約が繰り返し更新されていたか、更新を期待する合理的な理由があったか、雇止めに客観的・合理的な理由があるかなどによっては、労働契約法19条により認められない場合があります。
雇止めや契約上限を告げられたら、契約書、更新時の書類、メール、説明された日付と言葉を残し、早めに都道府県労働局の無期転換ルール特別相談窓口へ相談してください。
まとめ|正社員と無期契約、ほしいものから選ぶ

正社員になれないことと、あなたに価値がないことは別です。まず、選考のどこで止まっているのかを分けてください。直す場所が見えれば、次の一手も具体的になります。
※本記事は総務省統計局・厚生労働省の公表資料(2026年8月17日確認)をもとに作成しています。無期転換ルールや雇止めの適用可否は、個別の契約状況によって異なります。判断に迷う場合は、都道府県労働局の相談窓口にご確認ください。


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