試用期間中にクビになる?危険度の見分け方と解雇の14日ルール

実践ガイド

試用期間中に、小さなミスをした。上司の返事が少し冷たかった。それだけで「本採用されないかもしれない」と頭から離れなくなる。

仕事を覚えるより、クビにならないことばかり考えてしまう。この記事にたどり着いたということは、たぶんその状態だと思います。

結論から書きます。試用期間中でも、会社は理由なしに解雇できません。

ふつうに出勤して、うそをつかず、分からないことを聞き、注意されたら直そうとしている。それなら小さなミス1つで突然クビになることは、まず考えなくて大丈夫です。

とはいえ「絶対に大丈夫」とも言えません。大事なのはミスの回数ではなく、会社から具体的に「直して」と言われているかどうかです。

まず、いまの自分がどこにいるかを確かめてください。

いまの危険度を、3段階で確かめる

危険度:低 ー 心配しすぎなくて大丈夫
覚えるのが少し遅い
小さなミスをした
質問する回数が多い
一度注意されたが、直そうとしている

新人なら普通に起こることです。勝手に退職を考えず、まず仕事を覚えることに集中して大丈夫です。
危険度:中 ー 一度、確認したほうがいい
同じ注意を何度も受けている
上司との面談が急に増えた
改善する項目や期限を具体的に示された
担当を外される仕事が増えた

すぐクビという意味ではありません。会社が何を問題にしているのかを聞いて、優先順位を合わせる段階です。
危険度:高 ー 現実的に警戒する
無断欠勤や遅刻を繰り返している
経歴や資格に重大なうそがあった
業務の指示を、正当な理由なく繰り返し拒んだ
具体的な注意と改善の機会があったのに、変わっていない
「本採用は難しい」とはっきり言われた

言われたことを日付つきで残してください。ただし、当てはまれば自動的に解雇が有効になるわけではありません。

多くの人は「低」だと思います。

気にすべきなのはミスの回数ではありません。会社から具体的に「ここを直して」と言われているかどうかです。

会社の気分だけではクビにできない

試用期間中の解雇や本採用の拒否にも、会社側には理由が必要です。厚生労働省の判例解説でも、客観的に見て納得できる理由があり、社会通念上も相当な場合に限られると説明されています。

本採用後より会社の判断が認められやすい面はあります。それでも「思っていた人と違った」「何となく合わない」だけで終わらせてよいわけではありません。

そもそも、新人がミスをしない前提なら、試用期間そのものが要りません。見られているのは「ミスしたか」より、同じことを放置していないかです。

参考:試用期間についての判例解説(厚生労働省)

不安なら、上司にこの2つを聞く

危険度が分からないまま一人で想像しても、答えは出ません。

そのまま使える聞き方
「試用期間中に、私が改善したほうがいい点はありますか」

「本採用までに、どの状態になっていれば大丈夫ですか」

「私、クビになりますか」と聞くより、相手が答えやすくなります。

指摘がなければ、必要以上に怖がらず仕事を続けてください。指摘があれば、全部を一度に直そうとせず、優先する1つか2つを確認します。

面談のあとに、短いメールを1本
「本日はありがとうございました。まず○○と△△を改善します」

認識のずれを防げます。記録を作るのが目的ではなく、会社が求める状態を早く知るためです。

👉 転職後に仕事ができないと落ち込む人へ|7回の転職で分かった対処法

14日は「クビにできる線」ではない

ここは間違えやすいので、はっきり分けます。

14日で変わるのは、予告と手当のルールだけ
入社から14日以内
解雇予告や解雇予告手当のルールが、原則として適用されません

14日を超えたあと
会社は原則、30日前に知らせるか、足りない日数分の平均賃金を払う必要があります

どちらにも共通
解雇に納得できる理由が必要かどうかは、14日の前後とは関係ありません
よくある2つの誤解
❌ 14日以内なら、理由なしでクビにできる
❌ 14日を超えたら、絶対に解雇されない

どちらも違います。14日は、手続きが変わる線です。

「明日から来なくていい」と即日で言われた場合、14日を超えていれば原則として30日分の平均賃金にあたる解雇予告手当が必要です。10日前に予告されたなら、足りない20日分が目安になります。

金額は、自分で計算しないでください
ここでいうのは月給1か月分ではなく「平均賃金」です。基本は直前3か月の賃金から計算しますが、試用期間中や入社3か月未満には例外があります。

月給を30で割った額とは一致しません。給与明細を持って、労働基準監督署で確認するのが確実です。

なお、重大な落ち度や災害など一定の場合に、労働基準監督署長の認定を受けて予告や手当が不要になる例外はあります。会社がそう言うだけで、自動的に例外になるわけではありません。

参考:試用期間と解雇予告(厚生労働省)

参考:解雇予告手当の考え方(厚生労働省)

解雇を告げられても、その場で退職届を書かない

会社から「自分で辞めた形にしてほしい」と言われても、その場でサインしないでください。

その場で言う一言
「大事なことなので、今日は持ち帰って確認します。
会社の判断で雇用を終えるのであれば、理由を文書でください」

解雇の予告を受けたあと、解雇日までに求めれば、会社に解雇理由証明書を請求できます。退職したあとでも、退職証明書に解雇理由を書くよう求められます。

メールで送る文の例
「本日、○月○日付の解雇と説明を受けました。解雇理由を記載した証明書を交付してください」

口頭だけで終わらせないでください。
この3つがあれば、すぐ窓口へ
14日を超えているのに、予告も手当もない
理由が、これまでの説明と違う
退職届を書くよう強く迫られた

一人で言い返さず、労働基準監督署か総合労働相談コーナーへ。日付・言われた言葉・メール・雇用契約書・給与明細を持っていくと話が早いです。

参考:解雇理由証明書(厚生労働省)

👉 辞めさせてもらえない人へ|労働局の無料制度と手順

延長を言われたら確認する4つ

延長と言われても、すぐ解雇されるとは限りません。判断する材料が足りず、もう少し様子を見たいという場合もあります。

ただ「とりあえず延長」で終わると、不安だけが続きます。次の4つを文書で確認してください。

延長を言われたら聞く4つ
1| 雇用契約書や就業規則の、どの決まりにもとづく延長か
2| なぜ延長するのか
3| 新しい終了日はいつか
4| 何ができれば本採用になるのか

試用期間の長さを一律に決めた法律はありませんが、必要以上に長い試用期間や、理由のはっきりしない延長は問題になることがあります。根拠と目的と期間が分からなければ、相談窓口で確認してください。

自分から辞める前に、お金と離職理由を確認する

「クビと言われるくらいなら、先に辞めたほうがまし」。その気持ちは分かります。ただ、気まずさだけで退職届を出すのは待ってください。

自分から辞めると、扱いが変わります
自分から辞めるか、会社に終わらせられたかで、解雇予告の扱いや、雇用保険の離職理由が変わる可能性があります。

自己都合退職は、受給資格を満たす場合でも、原則として7日間の待期のあとに給付制限があります。

また、入社して間もない人は、そもそも基本手当を受けるための加入期間が足りないこともあります。

会社から退職を迫られたのに離職票が自己都合になっていた場合は、ハローワークで事情を伝えてください。会社の記載だけで最終決定するわけではありません。

参考:雇用保険の基本手当について(厚生労働省)

👉 失業保険はいつから?自己都合の給付制限と手続き

ただし、眠れない・食べられない・出勤しようとすると動悸がする。

そこまで来ているなら、話は別です。お金の有利不利より、医療機関や相談窓口につながることを優先してください。

まとめ|小さなミスだけなら、心配しすぎなくていい

この記事で持ち帰ること
1| 小さなミスだけなら、心配しすぎない
2| 危険度が分からなければ、改善点と本採用の基準を聞く
3| 14日は解雇の理由ではなく、予告と手当のルールが変わる線
4| 解雇を告げられても、その場で退職届を書かない
5| 会社の判断なら、理由を文書でもらう

いちばん避けたいのは、何も言われていないのに、不安だけで辞めることです。

まず上司に2つ聞く。それでも厳しい話が出たら、日付と理由を残す。順番はそれで十分です。

怖さではなく、選択肢を増やすために
今すぐ辞める必要はありません。ただ、会社の評価だけで自分の価値を決めないために、外にどんな求人があるかを見ておくのは役に立ちます。登録するかは、違いを見てから決めれば大丈夫です。

7回の転職で私が実際に使った3社を、「どんな人がどこを使うべきか」で振り分けて比較しました。

※本記事は2026年8月時点の労働基準法・労働契約法・厚生労働省の公表資料をもとに、一般的な考え方をまとめたものです。解雇や本採用拒否が有効かどうかは、契約内容や個別の事情で判断が変わります。具体的な判断は、総合労働相談コーナー、労働基準監督署、弁護士などへご確認ください。

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