「次の更新はありません」と言われた。
契約書には期間が書いてある。だから仕方ない。そう思って、黙って荷物をまとめようとしていませんか。
その前に、今日やっておくことが3つあります。どれもお金はかかりません。
今日やる3つ
- 「契約の更新を希望します」とメールで伝える
- 更新しない理由の証明書を請求する
- 契約書・メール・言われた日付をまとめて保存する
順に説明しますが、時間がないなら1つ目だけでも今日中にやってください。理由は次に書きます。
契約社員で更新されないと言われたら、今日やる3つ
1|「契約の更新を希望します」とメールする
まず、そのまま使える文面を置きます。
件名:契約更新のお願い(氏名)
お世話になっております。◯◯です。
先日、次回の契約更新はないとのお話をいただきました。
つきましては、契約の更新を希望しますので、ご検討いただけますようお願いいたします。
これだけです。長く書く必要はありません。言いにくければ「納得できないので、更新をお願いしたいです」でも構いません。更新を求めた、という事実が残ればいいからです。
口頭での申込みも認められる可能性はありますが、証拠を残すためメールで伝えてください。送信日時が、そのまま記録になります。
なぜ、これが一番大事なのか
契約期間が終わっても、それだけで当然に終わりとは限りません。一定の条件を満たす場合、会社は更新を打ち切れないことがあります(労働契約法19条/条件は後述します)。
ただし、この保護を主張するには、原則としてあなたから「更新してください」と申し込む必要があります。
黙ったまま契約終了を迎えると、あとから主張するのが難しくなります。ショックで何も言えないまま日が過ぎる。これが一番もったいないパターンです。
タイミングは、契約が終わる前が最も確実です。法律上は終了後でも「遅滞なく」申し込めば対象になり得ますが、決まった日数はないため、終わったあとならできるだけ早く伝えてください。
争うかどうか、相談するかどうかは、あとで決められます。この一言だけは、先に出しておいてください。
2|更新しない理由を書面でもらう
次に、これもメールで送れます。
「更新しない理由について、証明書をいただけますか」
契約を3回以上更新している人、または雇入れから1年を超えて働いている人は、更新しない理由を書いた証明書を請求できます。会社は、請求を受けたら遅滞なく交付しなければなりません(厚生労働省告示 第2条・第3条)。
ただし、最初から「更新しない」と明示されていた契約などは対象外です。最初の契約期間中でも理由を尋ねることはできますが、同じ交付義務があるとは限りません。
これが効くのには、理由があります。
対象になる契約では、証明書に書く理由は「期間が終わったから」以外のものでなければならないとされています。会社は、なぜ更新しないのかを文字にして出すことになります。
ここで会社が書いた理由が、あとで一番の材料になります。あいまいだったり、これまで言われてきたことと食い違っていたりすれば、相談するときの重要な手がかりになります。
3|契約書・メール・言われた日付を保存する
書類は、時間がたつほど探しにくくなります。今日のうちに、次のものをまとめてください。
- 今回と過去の契約書
- 更新回数が分かる書類
- 契約書に書かれた更新の判断基準
- 更新上限の有無
- 「次も更新する」と言われたメールやチャット
- 更新しないと告げられた日時と、そのときの理由
会社が契約の変更や更新に際して、新しく更新上限を設けたり、上限を短くしたりする場合は、事前にその理由を説明する必要があります。急に「次で終わり」と言われたなら、いつ、どんな説明を受けたかも残してください。
契約満了でも、打ち切りが認められない場合がある
ここで、1つ目で触れた法律の中身を説明します。
次のどちらかに当てはまる場合、話が変わります。
何度も契約を更新してきた場合
更新を繰り返し、実際には期限のない契約と変わらない状態になっていた。
「次も更新される」と思える事情があった場合
上司から「次もお願いする」と言われていた。更新手続きが毎回ほぼ形式だけだった。そうした事情があった。
このどちらかに当てはまり、あなたが更新を申し込んだうえで、会社の拒否に客観的に合理的な理由がなく、雇い止めが相当とはいえない場合、打ち切りが認められないことがあります。その場合は、それまでと同じ条件で契約が更新されたものとして扱われます(労働契約法19条についての厚生労働省解説)。
「契約書に期間が書いてあるんだから、終わりは終わり」。そう思っている人が多いところです。でも法律が見るのは、実際にどう扱われてきたかです。
ちなみに、令和7年度に労働局へ寄せられた「雇止め」の相談は、延べ15,775件でした(厚生労働省「令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況」)。あなただけの特殊な事情ではありません。雇い止めは、労働局が正式に扱っている相談分野です。変な相談をしていると思う必要はありません。
会社へ伝えたあとに考えられる3つの結果
「更新を求めましょう」と言われても、言った翌日からの職場がどうなるかが分からないと、動けないと思います。考えられるのは、大きく3つです。
更新される
更新希望を伝えたことで、会社が判断を見直すことがあります。決まったら、新しい契約書を必ずもらってください。口約束のままにしないこと。
条件を下げて更新を提案される
「更新はするけど、時間や時給を下げる」という形です。その場でサインせず、持ち帰って比べてください。転職時に現在の時給や年収を聞かれる場合もあるため、下げた条件を受け入れるかは慎重に判断してください。
そのまま終わる
更新を申し出ても、必ず更新されるとは限りません。ただ、対象になる契約で理由証明書を請求したなら、会社には交付義務があります。出してもらえないときは、労働基準監督署か労働局へ相談してください。そして同時に、次を探し始めてください。
雇い止めを専門家へ相談したほうがいいケース
自分で答えられる形にしてあるので、当てはまるかどうかを見てください。
- 契約更新を3回以上している
- 更新のたびの面談や手続きが、実質なかった(契約書にサインした記憶がない年がある)
- 上司から「ずっといてくれていい」と言われたことがある
- 同じ職場の契約社員は、通常は更新されている
- 勤続5年が近づいたタイミングで、急に更新上限を設けられた
- 自分だけが対象で、理由に心当たりがない
ただし、3回以上更新しているだけで、雇い止めが無効になるわけではありません。更新の扱いや会社からの説明などを含めて判断されます。
また、5年直前というだけで雇い止めが無効になるわけでもありません。更新上限をいつ説明されたか、これまで更新を期待させる扱いがあったかを含めて判断されます。
次のような場合は、話し合いに時間をかけるより、次の仕事を探すことを優先したほうが生活が安定することもあります。
- 会社の業績が厳しく、残っても再び雇い止めになる可能性がある
- 大勢がまとめて更新されない
- もともと辞めたい気持ちがあった
- 早く次を決めたほうが生活が安定する
雇い止めは労働局へ無料で相談できる
更新を求めても会社が動かないときは、総合労働相談コーナーへ相談できます。全国の労働局や労働基準監督署などにあり、費用はかかりません。
👉 辞めさせてもらえないときの相談先|労働局の無料制度と手順
なお、契約を3回以上更新している人、または雇入れから1年を超えて働いている人については、会社が雇い止めをする場合、原則として契約終了日の30日前までに知らせる必要があります(最初から更新しないと明示されていた場合は対象外)。言われた日付は必ず記録してください。
ただし、30日前の予告がなかっただけで、雇い止めが自動的に無効になったり、30日分の手当が出たりするわけではありません。
失業給付は離職理由を確認する
雇い止めの場合、更新を希望していたか、何年働いたか、契約書に更新の記載があったかによって、離職理由の扱いが変わります。特定理由離職者や特定受給資格者に該当する可能性があるため、自己都合と決めつけず、離職票の「離職理由」を確認してください。事実と違う場合は、ハローワークで申し出られます。
相談と仕事探しは、同時でいい
更新を求めながら、次を探しても構いません。どちらかに決めなければいけない決まりはありません。
次のあてがあるほうが、落ち着いて話せることもあります。次がない不安で、希望を言いにくくなることがあるからです。
同じ会社で5年を超えて働いているなら、そもそも契約の期限をなくせる制度があります。
👉 正社員になれない原因は?非正規から目指す方法と無期転換ルール
まとめ|今日決めるのは、材料を残すかどうかだけ
もう一度、今日やることを置きます。
- 「契約の更新を希望します」と伝える(メールで残す)
- 「更新しない理由の証明書をください」と頼む
- 契約書・メール・言われた日付をまとめて保存する
相談するかどうかは、あとで決めれば十分です。今日決めるのは、材料を残すかどうかだけです。
契約が終わることと、あなたの働きぶりが否定されたことは、別の話です。まず一言だけ返して、記録を残す。そこから先は、窓口の人と一緒に考えれば大丈夫です。
次を探すことになったときのために
契約終了への対応と、次の仕事探しを同時に進めるのは負担が大きいものです。今すぐ登録を急ぐ必要はありません。
求人探しや面接の日程調整まで自分だけで背負いたくない人に向けて、7回の転職で使った3社を「どんな人がどこを使うべきか」で振り分けて比較しました。
※ 本記事は2026年8月時点の労働契約法、厚生労働省告示「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準」および厚生労働省の公表資料をもとに、一般に解説されている内容をまとめたものです。筆者は7回の転職経験がありますが、契約を切られて争った経験はないため、本記事は体験談ではなく、公的資料で確認できた内容にもとづいています。更新の打ち切りが認められるかは個別の事情によって変わります。最終的な判断は、総合労働相談コーナーや弁護士へご確認ください。


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